課題
射出成形工程のルールベース型ビジョンカメラでは、キズ・ガス・シミといった欠陥を検出できず、目視検査員を別途配置して二重検査を行っていました。検査がボトルネックとなり、最適な生産条件が分からないため不良の事前予測やコスト削減にも限界がありました。
収集データ
射出成形設備の製造データと生産データ、ビジョン検査装置の画像データを併せて収集しました。品質検査の結果値を工程変数と結び付けて見られるよう、まずデータ現況の分析を行いました。
適用モジュール
V²(AIマシンビジョン)とA²(品質予測・工程最適化)を適用。品質予測にはXGBoost、工程最適化には遺伝的アルゴリズムを使用しました。ビジョンの異常検知にはPaDiMを適用し、PaDiMの過検知を解消するためEfficient-ADを追加で適用しています。
成果
ルールベースのカメラが見逃していた難検出不良を自動で検知できるようになり、目視による二重検査の負担が軽減されました。品質検査結果に影響する要因を相関分析で自動的に把握し、どの生産条件で不良が増えるかをデータで確認して工程を調整できるようになりました。
- 8% → 4%工程不良率
- 96%品質予測 F1スコア
- 99%ビジョン検査 F1スコア
なぜこの工程だったのか
射出成形の欠陥で最も扱いにくいのは、「不良と定義しづらい」ものです。照明の角度が少し変われば見えたり見えなかったりする微細なキズ、規格の境界にあるシミなどがそれにあたります。
ルールベースのビジョンカメラはここでジレンマに陥ります。基準を厳しくすれば良品まで弾き、緩くすれば不良が流出します。結局は人が見直すことになっていました。
検出と予防を同時に
検査をいくら精密にしても、不良率そのものは下がりません。すでに作られた不良を取り除くだけです。そこで両面から取り組みました。
検出 — 良品画像のみで学習する異常検知モデル(PaDiM)により、ルールベースが見逃す欠陥を検出しました。PaDiMは過検知が課題でしたが、Efficient-ADを併用して補いました。
予防 — 射出の生産データと設備データを結び付けて品質予測モデル(XGBoost)を構築し、遺伝的アルゴリズムで最適な工程条件を導出しました。どの条件の組み合わせで不良が増えるかが見えれば、条件自体を変えられます。